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<第2回>Withコロナ時代に変わる働き方とAI活用
AI活用で、Withコロナ時代の働き方を劇的に変える方法とは?
第1回では、「3密と人の移動」をキーワードに、4つの変化のポイントと、業務の切り分けの観点を説明しました。
今回は、製造業の企業を例にして、どのような変化が生まれるのか、またそこで活用が進むAIはどのようなものか考えていきたいと思います。
密閉&密集が多い製造業
議論を単純化するために、中堅~大手企業の製造業で、主要なオペレーションを、営業活動、オフィス業務、工場、物流センターと仮定してみます。
「3密と人の移動の減少」から影響を受ける4つのポイントに該当する業務をリストアップしてみましょう。
1.密閉 | 2.密集 | 3.密接 | 4.人の移動 | |
営業活動 | 事務作業をするオフィス環境 展示会 作業現場訪問 | 事務作業をするオフィス環境 展示会 | 対面営業 | 顧客・現場訪問 |
オフィス業務 | 事務作業をする オフィス環境 | 事務作業をする オフィス環境 | 対面会議 | 通勤 |
生産活動 | 開発現場(ソフト・ハード) 製造現場 | 開発現場(ソフト・ハード) 製造現場 | 対面会議 物の受け渡し | 通勤 |
物流業務 | 作業現場 | 作業現場 | 対面会議 貨物の集配 | 通勤 |
もちろん全ての業務をリストアップできてはいませんが、業務をリストアップしていくイメージを持っていただけたかと思います。
「対面をベースにしたコミュニケーション」、「様々な書類が関係する事務処理」、「複雑な手作業」には大きな変化が生まれる
では、ここから「エッセンシャル、代替可能、不要」へ切り分けてみましょう。
エッセンシャル業務は、作業自体を完全に無くすことはできないので、作業負荷や感染リスクの軽減をすることが重要です。例えば、シフト制の交代勤務を導入していなければ、新たに取り入れるという方法も考えられます。Withコロナ時代にはソーシャルディスタンスを維持する必要がありますが、オフィスや工場の面積を2倍にすることは簡単ではありません。そこで、朝夕2交代制などの勤務をすることで、同じ人員やキャパシティを維持ししながら、業務を維持することができます。もちろん、従業員の方からの同意は必要が必要ですが、こういった2交代制勤務が実現されれば、限られた機械やハードウェアの稼働率をあげることもできます。
代替可能な業務は、全部、または一部の業務を代替していくことができます。多くの企業で、この領域にあてはまる業務が一番多いのではないでしょうか。また現実的には、いきなり全てを代替するのではなく、職場環境に合わせて、段階的に代替していくという企業もあるかと思います。今回の製造業のケースでは、「対面をベースにしたコミュニケーション」、「様々な書類が関係する事務処理」、「複雑な手作業」という業務にまとめられています。変化を促進するITツールとして、オンラインワークツール、事務処理の自動化、ファクトリーオートメーションが考えられます。このような領域では、AIがどのように活用されていくのでしょうか。
Check Point代替可能な業務の3つの観点
・対面をベースにしたコミュニケーション
・様々な書類が関係する事務処理
・複雑な手作業
Withコロナ時代に劇的にAI活用が進む3つの領域
私は、オンラインワークツール、事務処理の自動化、ファクトリーオートメーションでは、必然的にAI活用のニーズが高まると考えています。
領域 | 予想される活用方法や今後の見通し |
オンラインワークツール | モチベーションやエンゲージメントの向上などHR観点や、コラボレーションの促進による生産性の向上でAI活用が促進される |
事務処理の自動化 | 高度化が進み、適用領域がますます増えていく |
ファクトリーオートメーション | ニーズの高まりは大きいが、投資額も大きくなるため、投資対効果の見極めが求められる |
オンラインコラボレーションツールでは、チャットやオンライン会議などに代表されるオンライン・コミュニケーション・ツールや、文書管理やワークフローを電子化するドキュメント/ワークフロー・マネジメント・システムです。近年では、大手企業やスタートアップからも様々なオンラインコラボレーションツールが生まれており、みなさんの中でも何かしらのツールを既に使っているという会社は多いのではないでしょうか。こういった、オンラインコラボレーションツールにおいては、例えば、HRの観点から、オンライン・コミュニケーション・ツール上でやりとりされるメッセージや、オンライン会議の映像から、自然言語解析や画像解析を活用して社員のモチベーションやエンゲージメントを見える化していくことが進むと考えられます。
事務処理の自動化では、PRAやAI-OCRの活用などが進んで来ていますが、この領域の進化は今後ますます進みます。私たちが日常的に接するようなビジネスシーンにおいて導入されてきているAIの機能は、AIが実現できる可能性のほんの一部であると考えています。例えるなら、現在のディープラーニングは、人間が単純な直感や記憶によって処理できるタスクを代替していると言えるでしょう。今後、様々な例外処理や推論の仕組みが加わっていくことにより、より高度な業務の代替が進み、非定型的な知的業務や事務処理業務の代替もますます実現されていきます。これまでに導入を進めていない企業では、スピーディーなインパクトが出せる領域かもしれません。
ファクトリーオートメーションは、製造・物流現場では以前から大きな注目を得ている領域です。アマゾンがロボットの活用により物流現場の自動化を大幅に進めているという話は、みなさんも聞いたことがあるかと思います。もちろんアマゾンでも、現時点で全ての物流業務を自動化できているわけではありませんが、製造・物流現場におけるファクトリーオートメーションの期待値は高まっていますし、Withコロナ時代にますますのニーズがますます高まってきています。ただし、生産ラインの変革には大きな投資が求められますので、投資対効果の見極めは重要になります。
まとめ既存業務で、「3密+人の移動」の4つの変化の影響を受ける、「対面をベースにしたコミュニケーション」、「様々な書類が関係する事務処理」、「複雑な手作業」を見つけることがAI検討の入り口となる。
今回は、Withコロナ時代を見据えた、4つの変化のポイントとAI活用について、製造業を例にして、解説をしてきました。このような視点が、みなさまの事業においても働き方の変革の推進のきっかけとなれば幸いです。
第3回では、シナモンAIのお客様で、実際に起っている変化の具体例を見ていきたいと思います。
シナモンAI 取締役COO 家田佳明電通、リクルート、P&G Singapore、起業を経て、Cinnamonへ参画。豊富な新規事業立ち上げ経験から、新規事業コンサルティング・プロダクト/サービスデザインを担当。事業要件と技術的解決策の橋渡しを行う。 |
シナモンAIでは、企業の皆さまのAI活用や働き方改革の推進について、コンサルティング、ワークショップ、ソリューションの提供を通じて、お手伝いをさせていただいております。ぜひお気軽にお声がけをいただけましたら幸いです。
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